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2025年09月号 | Vol.411

心房細動による脳卒中を防ぐ! カテーテル治療「左心耳閉鎖術」について

今月の先生

新潟県立中央病院

新潟県立中央病院

循環器内科部長・救命救急センター長 小川 理 氏

[ プロフィール ]

小川理 氏 
循環器内科部長/救命救急センター長

[ 資格・役職等 ]

日本内科学会認定内科医、総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベーション治療学会専門医、日本不整脈心電学会専門医、日本超音波学会指導医、日本高血圧学会指導医、日本脈管学会専門医、日本心臓リハビリテーション学会指導士、日本救急医学会専門医 

※表示テストのため、関連のない放送のテキストを記載しています。

高齢者に多い心臓病「大動脈弁狭窄症」から命を守る治療「TAVI(タビ)」についてお伝えします。
加齢などによって罹患する心臓病の1つ「大動脈弁狭窄症」。気づかずに重症化したり、 日々心臓に負担がかかったりするため、 突然のリスクもある怖い病気です。
この病気から命を守るのがカテーテルを用いた治療「TAVI」です。従来は開胸手術しかなく病気の改善を諦めていた高齢者もTAVIの普及によって治療の選択肢が広がっています。そこで今回は、新潟市中央区にある新潟市病院高度先進医療センター尾崎和幸先生に大動脈弁狭窄症や、TAVIの治療内容について解説していただきます。

ー まずは高齢者に多いという心臓病「大動脈弁狭窄症」について教えてください。

「大動脈弁狭窄症」っていうのは、心臓の出口についてる大事な弁「大動脈弁」というところが、加齢性の変化で硬くなってしまう病気です。弁が硬くなってしまいますと、心臓から血液が体中に出ていきませんので、心臓自体にですね、非常に大きな負担がかかってしまう。これが非常に大変な病気ということになります。 心臓はですね、体中に血液を送らなければいけないってよく分かっていますので、毎日弁が固くなるとフルパワーで働いてくれます。この心臓がいつもフルパワーで働いてるということが非常に危険だということになります。

ー 高齢者に多いっていうのはどうしてなんでしょうか?

弁が主に、加齢の変化で、動脈硬化を起こして固くなっているとご理解いただけると分かりやすいかと思います。

ー 高齢社会になるほど、この病気も増えてきているということですね。

特に最近は、寿命も伸びまして、100 年寿命の時代だと言われています。寿命が伸びれば伸びるほど、大動脈弁狭窄症は、増えるという風に予想されます。大動脈弁狭窄症は病気の初期では無症状。その後、軽い息き切れが出て、病気が進行すると胸の痛み、むくみ、失神、さらに進行すると、突然死のリスクもあるそうです。

ー 怖い病気なんですね。

病気は年のせいで進みますので、毎日毎日少しずつ確実に病気が悪化するというのが 1番の問題点です。多くの患者さん、特にご高齢の方は、「年のせいで、ちょっと息が切れるんじゃないか。」とか、病気とは、気がつかないというケースが非常に多いです。 適切な時期にしっかり検査を受けて診断をして、治療方針を決めるのが、非常に重要です。

ー その病気の治療の1つがTAVI。どんな治療なのか教えてください。

TAVIは略語なんですが、「経カテーテル的大動脈弁留置術」と言います。カテーテルという医療用の細い管を用いて、新たな人口弁を、硬くなった自分の弁の、内側に入れるという治療になります。人口弁を入れますと、硬くなった弁の代わりに人口弁が機能しますので、罹っていた心臓の負担が改善されます。

ー この病気の治療は、TAVIがずっと行われてきたのでしょうか?

TAVIは、約10年前に日本国内でスタートした新しい治療です。
まず、大動脈弁狭窄症に対する治療の大前提としまして、硬くなってしまった自分の弁を治してしまう薬っていうのは、これまで開発されていません。開胸手術をして、悪くなった自分の弁を取り出して、新しい弁を縫いつけるという、外科的な大動脈弁置換術という方法が長く行われてきています。

ー 昔は開胸手術を諦めてしまうと、根本的な治療は出来なかったっていうことなんですね。

現実的に、やはりご高齢の方が多いですので、難しい状況はたくさんあったていうのが、実際のところです。

ー TAVIは、カテーテルなので、患者さんの負担は、だいぶ軽減されるんですか?

この10年間でTAVIは、非常に普及しまして、日本国内の手術検査が、ものすごく増えています。

ー いくつぐらいの方が、受けてらっしゃるんでしょうか?

日本国内のデータベースで発表されたものによりますと、平均年齢は84歳になります。

ー 84歳っていうとだいぶ高いイメージですけれども、皆さんそれで元気になって、普通の生活に戻られてるっていうことですよね。

国内のデータベースによりますと、手術成功率は 90%台後半をずっと維持されていて、非常に安全なレベルで治療が受けられるということになります。

ー TAVIは、どんな風に治療が進められていくのか教えてください。

まず、TAVIの適用を決めたり、TAVIを実施をしたり、管理を行うのは、医師、看護師、様々な技師が集まったハートチームというもので、運営をされています。

ー チームで進めていくんですね。手術室は通常のものなんでしょうか?

TAVIは、ハイブリッド手術という特別な手術室で行います。ハイブリッドって言うと、2つのものが組み合わさったイメージだと思いますが 、レントゲンを用いてカテーテルを操作する機能を持った手術室なんです。
万が一、胸を開けたりとか、緊急事態にもすぐに対応できる部屋で、TAVIを行っています。

人工弁を5〜6mm程度のカテーテルに取り付け、太ももの付け根の血管から挿入 。大動脈弁に到達したら、人口弁を拡張します。人工弁は、自分の弁の内側に、適切に位置を合わせて固定します。設置された人工弁は、心臓の中で血液の流れに沿って、滑らかに開閉。心臓が無理をすることなく、血液を全身へと送ることができるようになります。

ー 手術時間はどのぐらいなんでしょうか?

国のデータベースによりますと、平均の手術時間は70分間です。ほとんどの手術が、2時間以内に終わっています。

ー 人工弁を入れたことによる、注意点はありますでしょうか?

人工物一般にそうなんですが、やはり細菌に非常に弱いです。心臓にある人工弁に細菌が行くのは、口腔内から細菌が入ってしまって、血液を回って、心臓の弁に巣食ってしまうトラブルを起こすということが、知られています。ですので、人工弁が入った場合っていうのは、口の中のメンテナンスが、非常に大事になってきます。

ー 虫歯とかが影響してしまうっていうことなんですね。

虫歯や歯槽膿漏(歯周病)に注意が必要です。

ー 高齢になると、歯槽膿漏とかも多いですから、非常にそこは注意したいところですね。TAVIは、体の負担が少ないということでしたけれども、手術後はどのように経過するのでしょうか?

TAVIは、翌日から自力で歩行が可能になります。大体おおよそ約1週間で、退院となります。退院後は、お薬を飲みながら通常の生活を送っていただくことになります。

ー 平均年齢84 歳で、また普通の生活に戻れるってのは本当に心強いですね。

現在新潟県内でTAVIを行っているのは、新潟市にある新潟市民病院、新潟大学医歯学総合病院、長岡市にある立川綜合病院です。

ー 高齢になったら、大動脈弁狭窄症が他人事ではないということ。そして、TAVIという治療があるということを覚えておきたいです。

TAVIは日本に入ってきてから10年が経過しました。大動脈弁狭窄症の治療としては、主流になりつつあります。大動脈弁狭窄症は、生命に関わる怖い病気です。初期は症状は軽いですが、年齢と共に、確実に進行します。
診断のきっかけは、聴診器で聞く「心雑音」のことが多いです。
気になる方は循環器内科の先生にご相談ください。

ー 大動脈弁狭窄症は、早期発見をして、主治医と相談しながら、適切な時期に治療をすることが大切です。TAVIを覚えておきたいですね。